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パワハラ防止法への対応方法

 

Q. 2019年5月に成立した,いわゆるパワハラ防止法への対応方法を知りたい。

 

 先日,今年の5月に,いわゆるパワハラ防止法が成立したと聞きました。

 

 中小企業である当社としては,どのような対応をしておけばよいのでしょうか。当社ではこれまでパワハラ問題が発生したことはないのですが,法律に従った適切な運営を行っていきたいと考えています。 

 

 

 

A. 就業規則の改定や相談窓口の設置,ハラスメント申告があった場合に迅速・適切な対応ができる体制の構築などが必要となる。

 

 

 2019年5月29日,「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」が改正され,初めてパワーハラスメント防止対策の法制化がなされました。以下,概要を説明するとともに,具体的な対応策を説明します。

 

 

1.パワハラとは

 

 まず,改正法では,パワーハラスメントについて,「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって,業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」と定義されました(同法30条の2第1項)。

ここでのポイントは,①「優越的な関係」が存在すれば足り,上司の言動だけではなく,同僚や部下の言動も問題となりうること,②「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」がハラスメントであり,その範囲内の指導等は許されること,③「就業環境が害されること」が必要であり,被害者が主観的にハラスメントを受けたというだけでは足りず,一定の客観性が必要となっていることです。

 

 

 

2.必要な対応

 

 改正法は,事業主に対し,「労働者からの相談に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」と規定し,雇用管理上の措置の義務付けを行いました(同法30条の2第1項)。

 そして,こうした措置の具体的な内容については,厚生労働省において指針を定めることになっています(同条第3項)。もっとも,本稿執筆時点(2019年9月20日)では指針は定められていないため,以下では2019年9月18日に公表された「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の骨子(案)」や過去の政府資料等を基礎に,施行日までに企業がなすべき対応を説明します。

 

(1)方針等の明確化及びその周知・啓発

 

 まず,今回の改正法で定められたパワハラの定義や内容,パワハラは許されないという方針を明確化する必要があります。具体的には,社内報やパンフレット等においてその旨を周知するほか,研修や講習を実施することが必要になるでしょう。

 また,就業規則にパワハラ禁止規定を設け,懲戒処分の対象になることを明示しておく必要もあります。

 

(2)相談に応じ,適切に対応するために必要な体制の整備

 

 パワハラの申告について適切に対応するためには,通常業務のラインとは異なる独立した相談窓口を設ける必要があります。なお,相談窓口としては,聴取マニュアルを設けることや人事部門,産業医等との関係部署との連携を図れるようにしておく必要もあります。

 

(3)事後の迅速かつ適切な対応

 

 ハラスメントの申告があった場合,①申告内容について事実関係を確認し,証拠を収集すること(事情聴取・証拠収集段階),②加害者・被害者の言い分に食違いがある場合,どのような言動があったのか判断すること(事実認定段階),③事実関係が確定したとして,その事実をパワハラと評価できるのか判断すること(評価段階)が必要になります。事業主は,いわば裁判所のような業務を求められることになるところ,上記①~③を適切に対応できる体制を構築しておく必要があります。具体的には,弁護士等の専門家に調査を委ねると行った仕組みが必要になるでしょう。この点については,当事務所のコラム「ハラスメント申告があった場合の対応方法」もご確認ください。

 

(4)プライバシー保護,相談等を理由とした不利益取扱いの禁止

 

 パワハラ問題については,被害者・加害者双方にとって知られたくない事柄といえます。そこで,パワハラに関する事情聴取を受けた従業員はもちろん,その他の関係者についても口外禁止としておく必要があります。また,パワハラ申告を行ったことに対して不利益を与えることも許されません。これらの点についても,研修や講習で周知しておく必要があります。

 

 

3.最後に

 

 以上がいわゆるパワハラ防止法への対応方法となりますが,近日中に厚生労働省から指針が出されると思われますので,指針は十分にご確認いただければと思います。なお,義務化の時期についてですが,大企業が早ければ2020年4月から,中小企業が2022年4月からの予定とされています。

 

 

 

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

 

 

 ◆その他「労働問題(使用者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

 

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