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ハラスメント申告があった場合の対応方法

 

Q. パワハラ・セクハラの申告があった場合,会社はどのような対応をとるべきか。

 

 

 先日,当社の従業員Aさんから「B課長に『サボるな,バカヤロウ』と怒鳴られ,頭をげんこつで叩かれました。パワハラだと思うので,対応してください。」という申告がありました。会社としては,どのような段取りで何を行えばよいのでしょうか。

 

 なお,当社では過去にセクハラ申告があり,相談者と行為者とされる者の言い分が全く異なったことがあります。本件でも言い分が異なる可能性がありますが,その場合の対応方法も教えてください。 

 

 

A. ①事実関係の迅速・正確な確認,

     ②事案の内容,状況に応じた適切な措置の実施が必要。

 

 

1.はじめに

 

 2019年6月に公表された「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によれば,民事上の個別労働紛争の相談件数で,「いじめ・嫌がらせ」が大幅に増加し,8万2797件に上っています。この10年ほどで2倍以上に増加していることになり,それぞれの会社でも対応を迫られるケースが多くなっているのではないでしょうか。私自身も会社の方からパワハラに関するご相談を受けることが多くなったと実感しているところです。

 

 

 

2.対応方法

 

 ハラスメントに関する申告がなされた場合,①事実関係の迅速かつ正確な確認,②事案の内容,状況に応じた適切な措置の実施を行うことになります。以下で順番にご説明します。なお,対応が遅れると,会社は遅れた事自体の責任を問われることがあるため,迅速に動く必要があります。

 

(1)事実関係の迅速かつ正確な確認

 

 はじめに行うべきは,事実関係の迅速かつ正確な確認です。その過程は,ⅰ事情聴取・証拠収集段階,ⅱ事実認定段階,ⅲ評価段階に分けることができます。

 

 まずは,ⅰ事情聴取・証拠収集段階として,相談者・行為者とされる者双方から事実関係を確認することになります。この際に注意することは,いつ,誰が,どのような行為を,どのような経緯で,どのように行ったかといった5W1Hを明確にした聴取を行う必要があることです。また,目撃者がいる場合には,その目撃者の聴取も行うべきです。さらに,メールやLINE,動画,写真,診断書,日報などの客観資料が存在すれば,それらも確保しておく必要があります。なお,後日,発言を翻すケースもまま存在するため,事情聴取を行った場合,事情聴取書を作成しておくことを強くお勧めします。場合によっては録音でもよいでしょう。

 

 続いて,ⅱ事実認定段階です。両者の言い分が異ならないようであれば問題はありませんが,両者の言い分が異なる場合,会社として,どのような事実があったと判断するかが問題となります。かかる作業については,会社はいわば裁判所のような判断を迫られることになり,簡単には対応できません。非常に大雑把にいえば,両者ともに認めている事実,裏付け証拠のある事実,自分に不利なことを認めている事実を踏まえ,これらの事実と整合的な発言をしている者の供述を信用していくことになるでしょう。もっとも,かかる判断は,その後の対応(例えば解雇)とリンクすることになる重要な判断ですので,悩ましいケースでは専門家にご相談されることをお勧めします。

 

 事実認定まで終えると,その事実をどのように評価するかというⅲ評価段階に入ります。例えば,「サボるな,バカヤロウ」との発言があったと認定できる場合に,それが違法といえるか否か,ハラスメントに該当するか否か,損害賠償が行われるべきか否かなどを検討することになります。この段階では,過去の裁判例や厚生労働省の示しているガイドラインなどが参考になります。また,本稿執筆時点では公表されていませんが,いわゆるパワハラ防止法の成立に伴い,指針の中でパワハラに該当するか否かの具体例も示される予定です。こうした指針も評価段階で参考になるでしょう。

 

(2)事案の内容,状況に応じた適切な措置の実施

 

 事実関係の迅速かつ正確な確認が終われば,その事案に応じた適切な措置を講ずることになります。例えば,ハラスメントと認められるのであれば行為者に対し懲戒処分を科すことを検討することになるほか,被害者の方への配慮措置が必要となるでしょう。なお,ケースによっては,この段階ではなく,申告直後に配置換えや自宅待機といった措置を講ずる必要があります。

 

 

 

3.最後に

 

 本件についても,上記流れに従った対応をとる必要があります。私の経験上,発言や暴行の有無について全面的に否定するケースは少ないと感じていますが,細部の行為について争いがあることは少なくありません。会社として悩ましい判断を迫られることもありますが,本稿がご参考になれば幸いです。

 

 

 

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

 

 

 ◆その他「労働問題(使用者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

 

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