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管理監督者と認められる場合

 

Q. 残業代を支払わなくて良い「管理監督者」とは,どのような立場の者か。

 

 当社では,経理・人事の統括責任者であったAさんに,総務部長の役職を与え,平社員の3倍程度の基本給を支給するとともに,出退勤についても自由に決めてもらっていました。

 

 ところが,先日,当社を退職したAさんが突然割増賃金の支払いを求めてきました。当社は,Aさんは「管理監督者」にあたると考え割増賃金を支払っていなかったのですが,この要求に応ずる必要があるでしょうか。

 

 

 

A. 労務管理に関する指揮監督権限を有し,自らの出退勤について裁量が与えられ,その立場にふさわしい賃金が与えられているといった要件を満たす者が「管理監督者」にあたる。

 

 

 どのような者が「管理監督者」にあたるのかについては,当事務所にも多くのご相談が寄せられています。そこで,法律の定めからみていきたいと思います。

 

 労働時間、休憩及び休日に関する規定は、①農業(林業を除く),畜産・養蚕・水産業の事業に従事する者(労働基準法41条1号),②事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者(同条2号),③監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの(同条3号)には適用されません。よって,これらの労働者には,労働契約や就業規則で別途定めない限り,法定時間外労働等に対する割増賃金を支払う必要はありません。なお,深夜割増賃金の支払いは必要ですが,就業規則等で支払いを不要とすることも可能です(平成11年3月31日基発168号等)。

 

 この労基法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」が,いわゆる「管理監督者」です。では,どのような場合に「管理監督者」といえるのか,その判断基準をご説明します。

 

 「管理監督者」については,①事業主の経営に関する決定に参画し,労務管理に関する指揮監督権限を認められていること,②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること,③一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金上の処遇を与えられていることとされています(労働法第11版 弘文堂 菅野和夫474頁)。このように,いわゆる管理職と呼ばれる方すべてが「管理監督者」にあたる訳ではないこと,役職名ではなく実態に即して判断されることに注意が必要です。なお,「事業主の経営に関する決定に参画」とは,企業全体の運営に関与している必要はなく,ある部門全体の統括的立場にあれば足りると考えられています(東京地判H20.9.30参照)。

 

 本件については,より詳しく事情をお聞きする必要はありますが,②出退勤について自由に決めることができたこと,③平社員の3倍程度の基本給を支給されていることからすれば,経理・人事の統括責任者として「事業主の経営に関する決定に参画し,労務管理に関する指揮監督権限を認められていたか」という①の要件が大きな問題になるでしょう。上記3つの要件を満たしている場合には,Aさんの要求に応ずる必要はありません。

 

  

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

 

 ◆その他「労働問題(使用者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

 

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