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マンションのベランダに「温室」を設置することは認められるか?

 

Q. マンションの部屋のベランダに「温室」を設置してか?

  

 私は分譲マンションの1室を賃貸に出しています。先日、この部屋の賃借人であるAさんから、植物を栽培したいので、部屋のベランダにアルミサッシ製の枠にガラス窓を取り付けた「温室」を作りたい、と相談を受けました。これを認めてしまってよいものでしょうか?

 

 

A. ベランダは共有部分であり、「通常の用法」しか認められないので通常は認められない。

 

 まず問題となるのは、マンションのベランダ部分が、専有部分なのか、共用部分なのかです。この点、普通に使っている分には、その部屋のベランダ部分は、その部屋の区分所有者しか使用しないことから、ベランダは部屋の中と同じように、区分所有者の専有部分であると思われがちです。

 

 しかし、マンションのベランダは、一般に、共用部分であるとされています。というのも、共用廊下などと同じように、緊急時にはマンション全体の避難経路となることが予定されているからです。共用部分である以上、ベランダは原則として、マンション管理組合の管理対象ということになります。もっとも、通常時には、ベランダはその部屋の区分所有者が使うのが適切といえますから、一般的には「専用使用権」という権利が設定され、これにより、通常時には部屋の区分所有者が「通常の用法」では使用することができます。

 

 では、ベランダを「温室」を設置することは、ここでいう「通常の用法」として認められるでしょうか?この点、ベランダは本来、共用部分であることから、その共用部分であることの目的が阻害されるか否か等の観点から「通常の用法」といえるかが、総合的に判断されることになります。そして、ベランダが共用部分とされるのは、緊急時の避難経路の確保が目的ですから、その目的が阻害されるような使用方法は「通常の用法」としては認められないことになります。

 

 「温室」の規模や設置方法などにもよるでしょうが、緊急時において隣接区画との通行ができなくなったり、上下階との昇降ができなくなったりするような場合は「通常の用法」とは認められないでしょう。

 

 なお、今回の事例と同様に、マンションのベランダに「温室」を設置した事案について争われた裁判では、ベランダを共用部分と認定した上で、その改築を禁止した管理組合の協定に違反するとして、「温室」を撤去することを命じる判決が下されています(最高裁判所昭和50年4月10日判決)。

 

 ところで、今回の事案で「温室」の設置を検討しているのは、区分所有者自身ではなく、その部屋の賃借人であるAさんですが、部屋の賃借人(占有者)はベランダの使用に関して、部屋の区分所有者自身と同様に「通常の用法」で使用する義務があるといえますから、区分所有者の場合と同様に考えればよいことになります。

 

 

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

 

 ◆その他「不動産(事業者側)」に関する弁護士コラムは こちら

 

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