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どのような場合に労働者性が認められるか?

Q. 契約書上は請負となっているにもかかわらず,労働者と評価されることがあるか?

  

 私の会社では,業務を下請業者(個人)に出しており,その旨の請負契約を締結しています。ところが,その方への発注を止めたところ,その方から「自分は労働者だ。解雇は不当だから,賃金を支払え。」と言われました。当社としては,請負契約であることを理由に,要求を拒否しようと思いますが,問題はあるでしょうか?

 

 

A. 指揮監督下の労働や報酬の労務対償性等が認められる場合には,労働者と評価されうる。

 

 はじめにですが,個々の契約が労働契約であるか,請負や業務委託などの他の契約であるかは,契約書の記載だけでは決定されません。役務提供者(本件では,下請業者)が実質的にみて「労働契約法上の労働者」に該当するかという観点から判断されます。そして,「労働契約法上の労働者」であるか否かは,以下の判断基準によって決定されます(最一小判平成8年11月28日,最二小判平成17年6月3日,最一小判平成19年6月28日参照)。

 

 まず,①役務提供者が他人の指揮監督下で労働していたといえるかを検討します。具体的には,役務提供者に仕事の依頼や業務従事の指示等に対して拒否する自由があったか否か,業務の内容及び遂行方法について具体的な指揮命令を受けていたか,勤務場所や勤務時間が指定されていたか,役務提供者が他の者に業務を遂行させたり補助者を使うことが許されていたかなどが考慮されます。

 

 次に,②報酬が労務の対償として支払われているかを検討します。報酬が労務提供の時間を基礎として算定されており,結果による増減が少ない場合には,その報酬は労務の対償であると判断されやすくなります。

 

 基本的には,以上の2点から判断されますが,判断が困難な限界事例では,さらに次の事情も考慮することになります。③役務提供者が機械や器具,車両,原材料などの生産手段を有しているか,報酬の額が当該企業において同様の業務に従事している正社員に比して著しく高額か否か,他社の業務に従事することが制度上や時間的に制約されているか,報酬部分に固定給部分が存在するか等。

 

 本件では,具体的事情が分からないため,下請業者の方の要求が認められるべきものかは分かりませんが,場合によっては認められる可能性があります。請負契約や業務委託契約等を活用されている企業におかれては,上記判断基準を踏まえた検討を行っておくことをお勧めします。

 

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

 

 ◆その他「労働問題(使用者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

 

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