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滞納された賃料全額を保証人に支払わせることができるか?

Q. 借家人が長年滞納している家賃を連帯保証人に全額払ってもらえるか?

  

 私は10年前、所有する建物をAさんに賃料月額5万円、賃貸期間2年間(自動更新)という条件で賃貸しました。ところがAさんは6年前から家賃を滞納していて、何度か請求したのですが、一向に支払ってくれません。滞納総額は360万円にもなります。Aさんへの請求では埒が明かないので、連帯保証人になっているBさんに請求しようと思うのですが、Aさんの滞納分全額をBさんに支払ってもらうことはできますか?

 

 

A. 信義則に反すると評価される場合、全額払ってもらうことはできない。

 

 建物賃貸借契約の賃借人が賃料を滞納した場合に、賃貸人が滞納分の賃料を保証人に請求することがありますが、滞納賃料が多額な場合、保証人が支払いを拒否して争うケースもあるため、この問題に関する最高裁の判例や下級審の裁判例があります。

 

 まず最高裁判所平成9年11月13日判決は、更新前の契約の保証人が「期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、保証人は、賃貸借において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないというべきである」と判示しています。

 

 ですから保証人は原則として更新後に発生した滞納賃料にも責任を負うのですが、「保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合」には、例外的に保証人の責任が全部又は一部免除されます。

 

 例えば、建物賃貸借契約を解除できるほどに賃料の滞納が発生しているにも関わらず、賃貸人は賃借人に対して数回支払いを催促したのみで、それ以上の積極的な債権回収を図ることもせずに放置し、保証人に対しても滞納の事実を知らせなかったような場合、滞納賃料の全額を保証人に請求するのは信義則に反し許されないとして、保証人が負うべき責任の範囲を一定の範囲(たとえば当初の契約期間に生じる賃料滞納額)に制限するという裁判例があります(東京地裁平成20年12月5日、東京地裁平成22年6月8日など)。

 

 今回のご相談のケースでも賃料の滞納が3~6ヶ月程度続けば、通常は建物賃貸借契約の解除可能です(信頼関係破壊の法理)。それにも関わらず契約を解除せず、単にAさんへの支払い請求をしていたに過ぎないというのですから、もし裁判で争われた場合、滞納賃料の全額を保証人Bさんへ請求するのは信義則に反すると評価され、保証人Bさんが負うべき責任の範囲が一定の範囲(たとえば当初の契約期間である2年間分(120万円))に制限する判決が下される可能性があります。

 

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

 

 ◆その他「不動産(事業者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

 

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