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精神疾患が疑われる社員への対応

 

 

 Q. 精神疾患が疑われる社員に対し,どのように対応すればよいか。
 

 

 これまで真面目に仕事をしてくれていた社員が,最近急に攻撃的になり,同僚に対して意味の分からないことを発言したり,些細なことに激高するようになりました。現在,その社員は「他の社員や上司に監視されている」などと言い残し,無断欠勤を続けています。この社員に対し,どのような対応をとるべきでしょうか。無断欠勤を理由とする懲戒解雇も検討しています。

 

 

 A. 健康診断を勧めることも含め,できる限りの配慮を行う必要がある。
 

 

 この数年,当事務所においてもメンタルヘルスに関する社員対応についてご相談を受ける機会が増えており,メンタルヘルス問題については多くの企業が対応に苦慮されていると思います。

 

 ご相談の事例では,無断欠勤を理由とする懲戒解雇を検討されているということですが,精神疾患が疑われる状況のもとで直ちに懲戒処分を行うことにはリスクがあります。本件類似の事案について判断を行った最判平成24.4.27は,使用者は,「精神科医による健康診断を実施するなどした上で,その診断結果等に応じて,必要な場合は治療を勧めた上で休職等の処分を検討し,その後の経過を見るなどの対応を採るべき」としました(東京地判平成24.9.26も公務員の事案ではありますが,同趣旨の判断をしています)。

 

 そこで,本件でも,当該社員に文書などによって健康診断の受診を勧め(場合によっては,受診命令を発令し),その結果,精神疾患が明らかとなった場合は休職等の措置を取るべきでしょう。他方,社員が受診を拒絶した場合や精神疾患ではないと診断された場合には,無断欠勤等を理由とする処分を検討することになると考えます。

 

 ただし,上記の対応にあたり,注意が必要なことは,精神疾患に関する健康診断の受診義務については,プライバシー侵害のおそれが大きいとして否定的な見解を示す裁判例も存在することです(名古屋地判平成18.1.18)。そこで,使用者としては,当該社員のプライバシーにもできる限りの配慮をしておくべきと思われます。具体的には,当該社員の問題行動等を正確に記録したうえで,かかる問題行動を踏まえて精神科医の受診を勧めること,その場合第三者に聞かれるおそれのない場所で行うこと,社員が任意の受診に応じない場合に受診命令の発令を検討することなどの対応が必要と考えます。

 

 なお,メンタルヘルスの問題に限った話ではありませんが,使用者が受診命令や懲戒処分等の権限を行使する場合,その理由となった資料を確保しておくことが重要です。

 

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

 

 ◆その他「労働問題(使用者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

 

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