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残業代

Q. 定額残業代の定めは有効か? 

 

 当社では,従業員の残業代について,定額残業代3万円を基本給に含めて支給しています。そのため,残業代を別途支払う必要はないと考えていたのですが,従業員から残業代の請求をされています。この従業員の請求を拒んでも大丈夫でしょうか?

 

 


A. 要件を満たせば有効だが無効の場合大きなリスクが生じる。

 

 1 定額残業代制度に基づいて残業代を支払ったとするためには,①基本給部分と残業代部分が明確に区別できなければなりません。具体的には,何時間分の残業代としていくら支払うということが明確にされている必要があります。

 

 この要件を満たさない場合,割増賃金を計算する際の基礎賃金に定額残業代を含めなければならないため基礎賃金が高くなるリスクがあります。

 

 この点について,月給20万円,定額残業代5万円,月の所定労働時間160時間の場合を例にご説明します。①の要件を満たす場合(ア),基礎賃金は20万円÷160時間=1250円となります。一方,①の要件を満たさない場合(イ),基礎賃金は25万円÷160時間=1562.5円となります。

 

 2 また,②労基法上の割増賃金額が定額残業代の額を超える場合は,その差額を支払う必要があります。

 

 先ほどの例で残業時間が20時間だったとすると,(ア)の場合,1250円×20時間=2万5000円が残業代となります。もっとも,定額残業代として3万円が支払われているので,追加で残業代を支払う必要はありません。

 

 一方,(イ)の場合,1562.5円×20時間=3万1250円が残業代となります。さらに,(イ)では①の要件を満たしていないので定額残業代の3万円は残業代として支払われたことにならず,追加で3万1250円を支払う必要があります。

 

 3 以上のとおり,①の要件をクリアしていない場合(上記イの場合)には,基礎賃金が高額となる,定額残業代が残業代として支払われたことにならないというデメリットがあります。さらに,従業員から訴訟提起された場合には,付加金の支払いが命じられるリスクもあります。

 

 4 同様の問題に関し,残業代を年俸に含めて支払っていたという事例において,年俸の支払いでは残業代を支払ったことにはならないという最高裁判決(平成29年7月7日)が下されました。この最高裁判例は,勤務医の残業代が問題となったものですが,どの職種についても妥当する判断がなされているので,同判例に従った運用が必要となります。

 

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

 

 ◆その他「労働問題(使用者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

 

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