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賃料減額をしない旨の特約は有効か?

Q. 賃料減額をしない旨の特約ある場合、賃料減額請求は認められるか? 

 

 私は以前からAさんに建物を賃貸しています。賃料については3年毎に消費者物価指数の変動率に基づいて更新するものの、仮に消費者物価指数が下落したとしても、それに応じた賃料の減額はしない旨の特約を付してあります。この特約があるにもかかわらず、最近Aさんが賃料減額を求めてきました。この減額請求は特約で無効になるでしょうか?


A. 賃料不減額特約は強行法規に違反。賃料減額請求は妨げられない。

 

 契約で何を定めるかは原則として当事者の自由です(契約自由の原則)。もっとも、契約で定めた内容が公序良俗に反する場合や、法律によって当事者間の合意に優先されると定められるもの(強行法規)に反する場合は、その定めは法的な効力を生じない(無効)とされています。

 

 建物の賃貸借契約においても、原則としては、契約でどのような事を定めるかは当事者の自由です。もっとも建物賃貸借契約には借地借家法の適用があることから、同法の強行法規にあたる条文に反する場合、当事者間の合意も無効になります。

 

 この点、借地借家法には賃料を増額ないし減額請求できる権利についての条文があります(同法11条1項)。問題となるのは、賃料減額請求をしない旨の特約が、この借地借家法11条の定めに反して無効となるかです。

 

 この点、類似の事案において、最高裁判所は「借地借家法11条1項の規定は、強行法規であって、本件特約によってその適用を排除することができないものである。したがって、本件各賃貸借契約の当事者は、本件特約が存することにより上記規定に基づく賃料増減額請求権の行使を妨げられるものではないと解すべきである」と判断しました(最高裁平成16年6月29日判決)。

 

 したがって、賃料の減額請求をしない旨の特約があっても、賃料減額請求をすることは妨げられないということになります。

 

では、賃料不減額特約は全く無意味なのでしょうか? この点、前記最高裁判例は「前記の事実関係によれば、本件特約の存在は、本件各賃貸借契約の当事者が、契約締結当初の賃料額を決定する際の重要な要素となった事情であると解されるから、衡平の見地に照らし、借地借家法11条1項の規定に基づく賃料増減額請求の当否(同項所定の賃料増減額請求権行使の要件充足の有無)及び相当賃料額を判断する場合における重要な事情として十分に考慮されるべきである」と判断しています。

 

 したがって、借地借家法11条1項に定める賃料減額請求がなされた場合、賃料不減額特約の存在は全く無意味という訳ではなく、裁判所が最終的に具体的な賃料の額を定める際の重要な事情の1つとして考慮されることになります。

 

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

 

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