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ペット飼育の可否・飼育ルールの説明義務

Q. 販売した中古マンションがペット飼育禁止だった場合に慰謝料支払義務はあるか?  

 

 当社では中古マンションの売買の仲介業務を行っています。先日、当社が売買を仲介したマンション物件を購入された方から、「ペットを飼育できると説明を受けて、このマンションを買った。ところが、マンション管理組合から、ペット飼育はできないと言われている。おかしいじゃないか! 慰謝料を請求する」というクレームを受けました。当社に慰謝料の支払義務はあるのでしょうか?

A. 説明義務違反による損害賠償として慰謝料の支払いが必要な場合があります。

 

 不動産売買の仲介業務を行う際には、契約上重要な事項を説明し、説明内容を記載した書面(重要事項説明書)を交付する必要があります(宅地建物取引業法35条)。マンションの一室を販売する場合は、当該マンションの「共用部分に関する規約の定め」や、「専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約等の定め」を説明する必要がありますが、ペット飼育の可否や飼育方法について、当該マンションの管理組合規約に定めがある場合、重要事項として説明する必要があります。必要な説明をしなかった場合や、説明はしたけれど内容に誤りがあった場合には、説明義務に違反したことになり、買主から損害賠償を請求されたら認められる可能性が高くなります。

 

 損害賠償請求が認められた裁判例としては、大分地裁平成17年5月30日判決があります。この事例は、新築の分譲マンションの販売のケースなのですが、当初、ペット飼育禁止として販売していたところ、販売不振であったため途中でペット飼育可能に方針変更して販売。その後、ペット飼育禁止との説明を受けていたマンション購入者から、分譲マンション販売会社に対して損害賠償請求の裁判が提起された、というものです。裁判所は分譲マンション販売会社の説明義務違反を認めました。

 

 他方で、損害賠償請求が認められなかった裁判例もあります。福岡地裁平成16年9月22日です。このケースも新築の分譲マンションの販売のケースだったのですが、マンション購入予定者が飼育中の犬を示しながら「このマンションで飼育できるか」と質問したのに対し、販売会社側は当該マンションで制定予定の管理組合規約等を示しながら「この程度の犬であれば特段問題はないと思う」と説明した、という事例です。裁判所は、①新築マンションの場合、販売会社に説明できるのは制定予定の管理組合規約等の内容に限られること、②制定予定の管理組合規約等として説明されたものには危害迷惑をかける行為に該当しない場合に限り、ペット飼育が可能との記載がなされていたこと、③特にペット飼育可能ということを広告しているマンションでない限り、説明された制定予定の管理組合規約等は通常のものであること、④販売会社側の説明は、購入予定者の犬について、制定予定の管理組合規約等によって認められないことになるか否かの解釈を述べたに過ぎず、その解釈も不適切とはいえなかったこと、などを理由として、販売会社に説明義務違反はなかったと判断しました。

 

 これら2つの裁判例は新築の分譲マンションの販売のケースですが、中古マンションの販売の際にも参考になります。中古マンションの場合は、すでにマンション管理組合が成立しており管理組合規約等も制定済みですから、制定済みの管理組合規約等の内容を正確に説明する必要があります。もし、当該マンションの管理組合規約等にペット飼育禁止と定められていたのに、ペット飼育可能と説明したのであれば説明義務違反になるのは明らかです。また「小型犬に限り可」や「迷惑を生じさせない限り可」など条件付きで認める内容の定めがあった場合も、少なくともその内容の説明は必要です。その上で、購入予定者が飼育を想定しているペットが管理組合規約等に基づいて許されるものといえるか否かは、管理組合規約等の解釈や適用に関する問題なので、マンション管理組合の理事会に諮ってその回答を示すなどをすべきです。仲介会社が独自の判断で断定的な説明をすることは避けた方がよいでしょう。独自の解釈・適用をして当該動物なら飼育可能などと説明してマンションを販売した後、実はその解釈・適用がマンション管理組合による解釈・適用と異なっており、実際には当該動物は飼育不可であったような場合は、説明義務違反にあたると判断される可能性が高くなるからです。

 

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

 

 ◆その他「不動産(事業者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

 

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