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退職金

Q. 退職金減額支給・不支給の定めに基づいて退職金の減額支給・不支給をすることができるか?  

 

 この度,退職した従業員から退職金の支払いを請求されました。たしかに,わが社の就業規則には退職金の支給規定があるのですが,①「自己都合退職の場合には会社都合退職の場合より支給額を少額にする」,②「懲戒解雇の場合には減額支給・不支給とする」旨の規定もあります。①や②の規定を理由に従業員からの請求を拒めるでしょうか。


A. 退職の主たる原因,不支給・減額支給が合理的なものといえるかによる。

 

 ①の規定については,退職金の支給額ではなく,そもそも自己都合なのか会社都合なのかといった点が争いになると思われます。自己都合か会社都合かどうかは,当該従業員の退職に至る主要な原因が何かによって判断されます。例えば,リストラや早期退職希望者の募集に応じる形での退職は,会社都合と判断されやすいでしょう。したがって,従業員の退職の主たる原因が当該従業員の主観的・個人的なものと認められれば,①の規定通り,会社都合退職の場合より少額の支給としても問題ないと思われます。

 

 ②の規定については,裁判例では,退職金の不支給・減額支給の規定が有効であることを前提とし,労働者に過酷で許容し難い結果を招く退職金不支給・減額支給規定については,適用範囲を限定して解釈する傾向があります(名古屋高判H2.8.31参照)。このような限定がされるのは,退職金が賃金の後払い的性格を有することから,不支給は賃金全額払の原則(労働基準法24条参照)に反するおそれがあり,また,懲戒解雇されたとしても当該従業員のそれまでの功労を直ちに否定できるわけではないためです。

 

 したがって,会社としては,不支給・減額規定に該当する従業員の行為の会社に対する背信性,当該行為によって会社が被った損害の額,退職金の功労報償金的要素の有無などを検討する必要があります。その結果,従業員の行為がそれまでの勤続の功労を抹消・減殺するほどの背信行為であると認められるのであれば,不支給・減額支給を行っても問題ないでしょう。

 

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

 

 ◆その他「労働問題(使用者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

 

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