記事詳細

千瑞穂法律事務所へのアクセスマップ

配転命令

Q. 配転命令は会社の判断で自由にできるのか?  

 

 私は,会社の人事部長を務めています。この度,東京本社に勤務する社員3名(A・B・C)を大阪支店に転勤させようと考えています。しかし,転勤の話を当該社員に話したところ,3名ともに拒否されてしまいました。社員が拒否しているにもかかわらず配転命令を出すことは問題ないでしょうか。

 なお,Aは既婚・子ども1人がおり大阪支店に転勤となった場合単身赴任しなければならない,Bは独身だが一人で母を介護しなければならない,Cは独身だが入社の際に勤務地を「関東地方」に限定してあったという事情があります。


A. 各労働者の具体的な事情を考慮し,権利濫用とならないよう注意する必要がある。

 

 配転とは,職務内容や勤務場所を変更することをいいます。そして,配転命令を行うには,①配転命令権が労働協約や就業規則の定めなどによって労働契約上根拠づけられていること,②配転命令権の行使が権利濫用とはいえないことが必要になります(最二小昭和61・7・14参照)。また,②について,前掲の判例は,配転命令の業務上の必要性,不当な動機・目的の有無,労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものかどうかを考慮して判断しています。

 ご質問のケースでは,Aは,大阪に転勤になると,配偶者や子どもと離れ離れになるため,「労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる」ともいえそうです。しかし,前掲の判例は,子の養育など家庭の事情で単身赴任を強いられることは通常甘受すべき程度を著しく超える不利益ではないと判断しており,Aに対する配転命令は適法になる可能性が高いです。もっとも,こうした評価については,ワークライフバランスの観点から批判もあるところであり,今後判例が変更される可能性もありますので,ご注意ください。

 次に,Bは,Bが転勤してしまうと母親を介護する人がいなくなるところ,こうした配転は労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を生じさせるものであるとして,配転命令が権利濫用にあたると判断される可能性があります。

 最後に,Cは勤務地が関東地方に限定されていたということなので,大阪への配転命令は①の要件を満たさず,配転命令が違法となる可能性が高いです。

 

 なお,権利濫用性の判断において,近年の裁判例では,労働者の不利益の大きさという要素のほか,配転に至る手続の妥当性(労働者からの事情聴取,家庭の事情の考慮,配転の理由説明など)も考慮要素として考えられています。そのため,会社側としては,各労働者の具体的な事情を考慮して判断を行ったといえることが重要であるといえます。

 

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

 

 ◆その他「労働問題(使用者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

 

タグ:

Please reload

初回相談料無料
 初回相談料無料 

730-0017 広島市中区鉄砲町1-20
第3ウエノヤビル 7階

TEL 082-962-0286 FAX 082-962-0289

Copyright ©  2018    弁護士法人千瑞穂法律事務所   All Rights Reserved

お問合わせ

受付時間

​平日9:00-17:00

​メールでのお問合わせはこちら