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認知症の方の不動産の処分

Q. 認知症のお母様の不動産について、娘さんとの間で売却手続きができますか?  

 

  不動産を所有するお母様がいらっしゃる娘さんから、お母様名義の不動産の売却の相談を受けました。売却しようとしている不動産は、お母様がお住いのご自宅の土地建物と、投資用として購入して賃貸に出しているワンルーム・マンションです。お母様は認知症を患っているため、将来を見据えて介護施設に入居する予定だそうです。もっとも、お母様は見た目は普通で会話もできるそうなので、お母様に確認(同意)を得た上で、娘さんとの間で不動産売却への手続きを進めて問題ないでしょうか?

A. 成年後見人を選任して、その成年後見人との間で手続きを進めるべき。

 

 お母様は認知症だということなので、仮にお母様に確認(同意)を得たとしても、そもそもお母様に法的な判断能力があったのか否かが問題となって、後日、その不動産の売却の効力の有無が問題となり、トラブルになる可能性があります。

 相談を受けた不動産事業者としては、まず認知症である本人(お母様)のために成年後見人を選任してもらい、選任された成年後見人との間で手続きを進めるべきです。成年後見人には、本人の財産に関するすべての法律行為を本人に代わって行うことができる包括的な代理権が付与されます。ですから、成年後見人が行うのであれば、被後見人本人が行ったのと全く同じ法律上の効果が生じますので、安心して取引行為をすることができます。

 本件でも、まず娘さんに申立人となってもらい、家庭裁判所に対して、お母様のための成年後見人を選任するように審判を申し立ててもらいます。この際、娘さんご自身を成年後見人の候補者として申立てた場合であっても、本人が多額の流動資産(現預金など)を所持している等の事情がある場合には、弁護士等の専門職が成年後見人に選任されます。

 また、本件のように被後見人本人が居住されている不動産を売却する場合には注意が必要です。もともと成年後見制度は本人を保護するための制度なので、本人の生活の拠点として現在使用している不動産、もしくは将来使用するかもしれない不動産を処分する際には、家庭裁判所の許可が必要になるのです(民法859条の3)。もし家庭裁判所から事前に許可を得ずに居住用不動産を売却しても、法律上は無効となってしまいます。ですから成年後見人に家庭裁判所の許可を得てもらった上で、手続きを進めて下さい。

 他方、本件のワンルーム・マンションのように、本人の居住用ではない不動産を売却することについては、家庭裁判所の許可は必要ありません。不動産事業者としては、売却対象となっている不動産が本人の居住用であるか否か、現在は住んでいなくとも将来居住用とする可能性があるのかどうか等を、成年後見人によく確認しておいた方がよいでしょう。

 なお、居住用ではない不動産の売却であっても、必要性(本人の医療費捻出のため等)と相当性(適正な取引価格であること等)がなければ、その取引をした成年後見人が、義務に違反したとして責任を問われる可能性があります(民法858条、869条)。不動産事業者としては、その点にも配慮してあげた方が親切でしょう。

 

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

 

 ◆その他「不動産(事業者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

 

 

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