勤務時間中の私物のスマホや社用パソコンの私的利用


Q. 勤務中に私物のスマホや社用パソコンでネットなどを見ている社員にどう対応すべきか。

 当社では、この度新入社員を採用したのですが,この社員が勤務時間中に会社のパソコンを使用して,友人へメールを送信したり,ゲームをしたり,ネットを見たりしています。一度注意をしたところ,パソコンでゲームをすることはなくなったようですが,友人へのメールなどは続けているようです。

 また,この社員は仕事中頻繁に私物のスマートフォンを触っており,業務と無関係なことを行っているのではないかとの疑念を抱いています。どのように対応すべきでしょうか。

A. 調査を行った上で,書面で注意指導し, 改善されなければ懲戒処分を検討する。

 労働者は,労働契約に基づき,労働義務を負っている時間内は,使用者の指示に従い,誠実に業務を遂行することに専念しなければなりません。そこで,業務と無関係な行為を行っているのであれば,注意指導を行い,改善されなければ懲戒処分を検討するということになります。

 もっとも,本件のような場合,注意した際に社員側から「業務と無関係のことは行っていない」といった反論がなされることがあります。そこで,注意指導の前段階として,次のような対応を取っておくべきでしょう。

(1)社用パソコンの使用について

 社用パソコンの使用については,パソコンの閲覧履歴やアクセスログ,メールの履歴等を確認しておくべきと考えます。ただし,注意しなければならないことは,会社のパソコンであっても無制限には調査できないということです。裁判所は,会社が社用パソコンのメールチェックを行った事案について,チェックは原則として許されるとしつつ「社会通念上相当な範囲を逸脱した監視がなされた場合」にはプライバシー侵害となるとしています(東京地判H13.12.3)。

 本件のような状況であれば,チェックは許されると思われますが,調査するに至った理由について書面に残しておくことが望ましいでしょう。

(2)私物スマホの使用について

 社用パソコンと異なり,私物のスマホについて会社が調査を行うことは困難です。そもそも社員のスマホを無理やり奪うことは許されず(警察でも令状が必要な行為です),仮に任意の提出を受けたとしても,スマホの中の情報はプライバシーとしての要保護性が極めて高いと考えられるからです。そこで,社員が勤務時間中の私的利用を認めている場合や実際に業務と無関係の画面を開いていることを目撃した場合などは別として,否定している場合には注意・指導も難しいと言わざるを得ません。

 こうした場合,会社としては,私物のスマホは業務に使用しないこと,スマホの使用は業務と無関係なことを行っているとみなすことなどを定めた規則を設け,それにもかかわらずスマホを使用した場合に注意・指導や懲戒処分を行うことが考えられます。

(3)本件について

 本件についても,上記注意点を考慮し,調査や規則の作成等を行った上で,注意・指導を行うべきでしょう。なお,注意・指導の際は,証拠を残すという意味で書面によって行うことや対話記録を残すことが適切です。注意・指導にもかかわらず改善されない場合,懲戒処分を検討することになります。

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

◆その他「労働問題(使用者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

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