敷金返還の際に利息をつけなければいけないのか?


Q. 退去する賃借人から請求された敷金に対する〈利息〉の支払い義務の有無。

 私は賃貸アパート経営をしています。10年間入居されていたXさんが退去されたので、精算した上で敷金をお返ししたのですが、Xさんは「10年も預けていたのだから、その分の利息も返せ」と言います。利息を払う必要はあるのでしょうか?

A. 賃貸借契約において無利息の定めがない場合でも

利息支払い義務はない。

 敷金とは「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭(最高裁昭和48年2月2日判決)」とされます。つまり、敷金は賃貸人が、賃借人から預かっている金銭だということになります。

 賃貸人は賃借人からお金を預かっている以上、当然に利息まで支払う義務があるのでしょうか?

 この点、賃貸借契約書では一般に「敷金は無利息とする」との定めが置かれています。したがって、このような定めがある場合には、この契約条項によって、利息の支払義務はないことになります。

 もちろん、この場合でも、建物明渡しによって敷金返還義務が生じたのに、返還せずに放置すると、履行遅滞責任として法定利息分の損害賠償義務は負うことになります。

 では、賃貸借契約において「敷金は無利息とする」との定めをしておかなかった場合は、どうでしょうか?

 この点、人にお金を貸し付ける場合であっても、民法では当然には利息は発生しないことになっています(民法587条)。貸付金について利息が発生するのは、当事者が特に利息について合意していることが必要なのです。

 このように貸付けたお金であってさえ、当然に利息がつく訳ではないところ、敷金は賃借人の担保として預かる性質の金銭なのですから、なおさら、当然に利息がつくとは考えられません。

もちろん、利息が付けることが禁止されている訳ではないので、賃貸人と賃借人との間で、特に利息を付けると定めているのであれば、利息がつくことになります。しかし、そうでない限り「敷金に利息は発生しない」ということになります。

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

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