私道の新しい所有者に対して通行する権利を主張できるか?


Q. 私道の新たな所有者からの通行制限。

通行を認めさせることはできるか?

私は所有する甲土地に賃貸アパートを建てて経営しています。甲土地から公道へ出るための通路は、隣接地・乙土地の所有者であるBさんの所有地で私道です。これまで長年にわたってBさんからは私道の通行に関して何も言われませんでした。ところが先日、Bさんから乙土地と私道部分も併せて買い受けたCさんが「今後は、私の所有地を私の承諾なく勝手に通行することは一切認めない!」と言い出したため、アパートの賃借人らが困っています。本当にCさんの承諾がないと私道部分の通行はできないのでしょうか?

A. 黙示の通行地役権が認められる等の諸事情があれば

通行権を主張しうる。

 ある土地(要役地)と公道などとの往来のために他人の土地(承役地)を通行することができる権利として通行地役権があります。通行地役権は、要役地の所有者と承役地の所有者が設定契約をするのが原則です。

 もっとも、明確に設定契約を行っていなかったとしても、承役地が通路として利用されることになった経緯等から、通行地役権が暗黙に設定されたと認められる場合があります(東京高裁昭和32年6月17日判決など)。本件でも経緯によっては黙示の通行地役権が認められる可能性があります。

 次に通行地役権を通路敷地の譲受人に対しても主張できるかが問題となります。この点、通行地役権は登記できる物権なので、譲渡前に登記しておかなければ、譲受人に対して主張できないのが原則です。しかし、最高裁判所は、登記されていないことを主張するについて正当な利益を有しない者に対しては、登記なくして通行地役権を対抗(主張)することができるとしています。ここで正当な利益を有しない者とは誰かが問題となりますが、最高裁判所は「通行地役権の承役地が譲渡されたときに、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその市、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか認識可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がないかぎり、地役権設定登記されていないことを主張するについて正当な利益を有する第三者にあたらない」としています(最高裁平成10年2月13日判決)。

 本件では、仮に黙示の通行地役権が認められ、Cさんが地役権設定登記されていないことを主張するについて正当な利益を有する第三者にあたらないとしても、要役地の所有者が所有する建物の賃借人も通行地役権を主張(行使)できるかが、更に問題となります。

 この点、囲繞地通行権についての裁判例ですが「(囲繞地通行権を有する甲地所有者)からその所有の建物を賃借しているXらは、同建物の使用、収益に必要な限度において甲地の借地人であるAに代位して囲繞地通行権及びその他の妨害排除請求権を行使することができるものと解するのが相当である」としています(東京高等裁判所昭和53年11月29日判決)。通行地役権についても同様に考えることができると思われます。

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

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