建物の賃貸借契約における説明義務・瑕疵担保責任


Q. 法令上の制限を看過して締結した契約について、賠償請求は可能か?

 当社は飲食店の運営を行う会社です。この度,新店舗を出店するために店舗となる建物の賃貸借契約を締結しました。しかし,その後に,法令上の制限があることが原因で,その建物を店舗として使用することができないことが発覚しました。すでに仲介業者への仲介料,工事費用,敷金礼金など新店舗開店のための費用を支払ってしまったのですが,返金を求めることはできるでしょうか。

A.新店舗の開店費用を賠償できる場合がある。

 ご相談のケースにおいては,仲介業者及び賃貸人に対して,債務不履行責任,瑕疵担保責任を追及することが考えられます。

 なお,瑕疵担保責任(民法559条,570条)とは,当初想定していた契約内容が実現されなかった場合,契約解除や損害賠償責任を負うことをいいます。瑕疵担保責任を追及するためには,①賃借人が一般的な注意をもってしても,瑕疵(ここでは法令上の制限)があることを発見できないこと,②そのために契約をした目的を達成できないことという要件を満たす必要があります。

 債務不履行責任及び瑕疵担保責任を追及するにあたり,まず確認しておくべき事項は,法令上の制限とはどの法律・条令に基づく制限であるのか,今回のケースでその制限をクリアできなかった原因は何であるのかと思われます。

 このような法令上の制限については,仲介業者に確認すれば判明すると思います。仮に仲介業者に確認してもわからない場合は,各自治体の建築課等に問い合わせをすれば回答してもらえるはずです。

 次に確認しておくべき事項は,仲介業者や賃貸人に対して,賃借した建物を飲食店の店舗として利用することを伝えていたかどうか,仲介業者・賃貸人からその場合に法令上の制限が存在することの説明を受けたか,重要事項説明書に法令上の制限について記載があるかどうか,法令上の制限をクリアするために市役所とやりとりした内容等です。

 飲食店として利用することを仲介業者,賃貸人に伝えていたにもかかわらず,法令上の制限について説明を受けなかった場合または説明を受けたが制限をクリアできるなどと言われていた場合は,開店できなかったことにつき,仲介業者及び賃貸人に過失があるということができます。

 では,以上の点が確認できたとして,どの範囲の損害について賠償請求できるのでしょうか。

 最高裁の判例によれば,損害賠償の範囲は仲介業者への仲介料,工事費用,敷金礼金など契約が有効であると信頼したことによる損害とされています。もっとも,改正民法では,この範囲を超えて契約が有効であれば得られていた営業上の利益についても賠償請求できると考えられており,営業利益についても請求する余地があります。

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

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