就業規則の変更


Q. 就業規則を変更することはできるか?

 当社は高コスト体質を改善するため,就業規則の変更を検討しています。具体的には,55歳以上の従業員を管理職から外して管理職手当や基本給,賞与を段階的に削減する一方で,40歳から50歳の従業員の賃金を上げるというものです。このような内容で就業規則を変更することはできるでしょうか。

A. 手続面・内容面の制約をクリアできるか検討する必要がある。

1 就業規則を変更するには,手続面及び内容面の制約をクリアする必要があります。

2 手続面の制約とは,労働者代表(労働者の過半数で組織する労働組合,これが存在しない場合は労働者の過半数の代表者)の意見を聴いた上で,労働基準監督署に届け出るとともに,労働者に周知(具体的には掲示,備え付けなど。労働基準法施行規則52条の2参照)することです(労働基準法89条,90条,106条)。

3 内容面の制約とは,労働契約法9条及び10条の要件を満たすことです。労契法9条及び10条は,原則として就業規則の不利益変更はできないが,変更後の就業規則を労働者に周知させ,就業規則の変更が合理的なものである場合には例外的に不利益変更をすることができると定めています。ここでいう周知とは,労基法上の周知と異なり,実質的な周知(労働者が知ろうと思えば知りうる状態に置かれたこと)で足りるとされています。もっとも,就業規則の変更を朝礼で概略的に説明しただけでは実質的周知を欠くとした裁判例もあるため,説明文書の配布など,内容を理解させるための方策を講じておくべきでしょう。就業規則変更の合理性は,①労働者の受ける不利益の程度,②労働条件の変更の必要性,③変更後の就業規則の内容の相当性,④労働組合等との交渉の状況その他の事情に照らして判断するとされています(労契法10条)。

4 ご質問のケースでは,55歳以上の労働者の賃金等が減少するということですので,大きな不利益に該当します(①)。判例においても,賃金など労働者にとって重要な権利について不利益変更する場合には,高度の必要性が認められることが要求されています(最高裁平成9年2月28日判決)。そこで,貴社としては,経営状況が逼迫していることや人件費の占める割合が高いこと(②),同業他社と比較しても,引き下げ後の賃金が低額とはいえないこと(①),賃金引き下げの代償措置を講じていること(①),業界を取り巻く環境や同業他社における労働条件からみても就業規則の変更に合理性があること(③),就業規則を変更する際に労働者代表に対して説明を尽くしており誠実に対応したといえること(④)などを主張立証する必要があります。

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。


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