整理解雇


Q.整理解雇を行う際の注意点は?

近年,当社では経営状況が悪化しており,経営コストを削減するために従業員の整理解雇を行うことを検討しています。そこで,適法に整理解雇を行うために社内で検討しておくべき点を教えてください。

A.4要素を十分に検討する必要がある

 解雇は客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合には無効となるとされています(労働契約法16条)。整理解雇も解雇の一種であるため上記要件を満たさなければ無効となります。さらに,整理解雇は他の類型の解雇と異なり,労働者側の事由を理由とした解雇ではないため,他の類型の解雇と比べて適法性が厳しく判断されます。

 その判断を行うにあたっては,主に①人員削減の必要性,②解雇回避努力,③人選の合理性,④手続の妥当性という4要素が考慮されます。

 ①については,企業の財政状況が悪化していることを示す必要があります。財政状況に全く問題がない場合や,整理解雇を行いつつ新規採用を行うという矛盾した行動がとられた場合には①の要件を満たさないと判断される可能性があります。

 整理解雇前に11名の退職が予定されている中,18名の採用を行い,7名を整理解雇したという事例(大阪高判平成23年7月15日)において,人員削減の必要性はなかったと判断されています。

 ②については,解雇以外の方法,例えば希望退職者の募集,非正規従業員の雇止め・解雇,残業削減などの手段をとって,解雇を回避する努力をする必要があります。

 解雇回避努力を行ったと評価できるかどうかは個別の事情によって異なるため,個々の使用者において可能な限りの措置を取る必要があります。

 ③では,解雇回避努力を尽くしたとしてもなお余剰人員が存在する場合,合理的な人選基準を定めて被解雇者を決定することが求められます。基準としては,勤務成績,勤続年数,労働者の扶養家族の有無などが挙げられます。「適格性の有無」という基準は抽象的で客観性が担保できないため,合理的な人選基準とはいえないと判断された裁判例(東京地判平成14年12月17日)があります。

 ④では,使用者が労働組合や労働者に対して,人員整理の必要性,解雇回避の方法,整理解雇の時期・規模・人選の方法などについて説明を行い,その納得を得るために誠意をもって協議することが求められます。

裁判例の中には,労働組合からの合意を得ていたが,被解雇者となる可能性の高い労働者から意見を聴取していなかったため,手続の妥当性が認められなかったものがあります(東京地決平成15年7月10日)。

 整理解雇を行う際には,以上の4要素を十分に検討されてください。

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

◆その他「労働問題(使用者側)」に関する弁護士コラムは → こちら

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