【民法改正】定型約款を契約内容とするための要件など


Q. 新しい民法で定められた約款の規定にどう対応すればよいか?

 当社ではインターネットを使った取引を行っており,HP上に規約を設けています。改正民法(2020年6月2日までに施行)では,このような規約(約款)に関する規定が新設され,相手方が約款の内容を認識していなくても契約内容とできたり,相手方が約款変更に同意していなくても変更が認められるようになったと聞きました。どのように対応しておけばよいか教えてください。

A. まずは自社の規約が「定型約款」に該当するのかを確認する必要がある。

1 改正民法の解説

 現代社会では,バスや鉄道の運送約款,電気・ガスの供給約款,インターネットサイトの利用約款など,多くの約款が取引に用いられています。しかし,これまで民法に約款に関する定めは設けられておらず,法的に不安定な状況が続いていました。そこで,改正民法では約款に関する規定が新設されました。

①まず,改正民法は,「ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの」を「定型取引」と定義したうえ,「定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体」を「定型約款」と定義しました。

②そして,「定型約款」に該当した場合,当事者でその定型約款を契約の内容とする旨の合意をするか,定型約款を準備した者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたときには,相手方が定型約款の内容を認識していなくても,定型約款が契約の内容となることになりました。ただし,相手方を一方的に害するような条項は契約内容とはなりませんので,ご注意ください。

③また,定型約款の変更についても,その変更が相手方の利益に適合するときや定型約款の変更が契約をした目的に反せず,かつ変更に係る事情に照らして合理的なものであるときには,インターネットによる周知等を行うことで,相手方の個別の同意を得ることなく,定型約款を変更することができると定められました。

2 実務上の対応

 こうした改正民法への対応としては,企業はまず自社の用いている規約などが「定型約款」に該当するのかをチェックする必要があります。そのうえで,定型約款に該当した場合,それを契約の内容とするための要件を満たすため,契約締結までの業務フローや定型約款の条項を見直すとともに,定型約款の変更に関する定めが設けられているかなどについても詳細な検討を行っておくべきでしょう。上記では定型約款に関する改正民法を簡単にご紹介しましたが,自社の基幹取引に定型約款を用いている場合,弁護士などの専門家に相談されることを強くお勧めします。

※記事の内容は、作成当時の法令・判例等に基づいた内容です。最新法令・判例等のご確認をお願いいたします。

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