勤務成績の不良を理由とする解雇


Q. 勤務成績不良を理由とする解雇は適法か。

 わが社の従業員で,いくら指導しても営業成績が良くならない者がいます。この度,この従業員を就業規則に基づいて解雇しようと考えていますが,訴訟に耐えうるケースといえるでしょうか。

A. 勤務成績を理由とする解雇はハードルが高いため,下記の4点を検討した上で判断すべき。

 退勤務成績・勤務態度の不良を理由として解雇する場合は,単なる成績不良ではなく,①企業経営や運営に現に支障・損害を生じ,又は重大な損害を生ずるおそれがあるかどうか,②今後,注意指導・反省により改善の見込みがあるか,③使用者の不当な人事により労働者の反発を招いたなどの労働者に宥恕すべき事情があるか,④配転や降格ができない企業事情があるか等を考慮して解雇権濫用の有無を判断すべきとされています(東京地決平成13年8月10日)。

 ①の観点からすれば,他の社員と比較して相対的に勤務成績が不良というだけでなく,絶対評価的に考えても不良であると主張したいところです。この点に関連して,その社員を採用する際にどのような能力を有することが想定されていたかも重要なポイントです。即戦力として採用したのであればそれだけ成績不良との主張が容易になります。

 ②の観点については,会社には業務命令権が与えられている反面,成績不良なのは会社の教育・指導不足と判断される可能性もあるので,きちんと指導したことを記録に残しておく必要があります。他の社員と比べて教育・指導が不十分でないかという点も確認すべきです。

 ③は,会社の何らかの行動により従業員の成績・勤務態度に問題が生じた場合,解雇が無効との判断に傾くという趣旨です。

 ④の観点については,他の職務に従事させることができたのであれば,解雇は無効との判断がされる可能性が高くなります。そのため,他の職務には従事させることができなかった理由,当該従業員との労働契約が業務内容を限定するものであった,当該従業員が他の職務への従事を拒否したなどの事情がないか検討する必要があります。

 以上のとおり,勤務成績・勤務態度不良により従業員を解雇するのは簡単ではありませんので,①~④の各点を検討する必要があります。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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