出資した資本金の回収


Q. 出資した資本金の回収について

 私は,2~3年前に知人3名と共に株式会社を立ち上げ,約3000万円の資本金中900万円を出資しました。ところが代表取締役に就任した者と会社経営を巡り意見対立が続き,退社しましたが,利益配当も一切無く,買取請求にも応じてくれません。 何とか出資金を取り戻したいのですが,どうしたらいいのでしょうか。 A. 出資金の返還請求はできない。株主として,会計帳簿等の閲覧請求を行い,配当がないことが適切か否か検討すべき。

 株式会社の出資者は,出資額を超えて会社の債務について会社債権者に対して責任を負いません。対して,会社債権者保護のため,株主の出資義務を免除したり,払い込んだ金額を返還したりすることは,剰余金分配等の手続を経ない限り,許されていません。したがって,会社に対して,出資した金額の返還請求をすることはできません。

 また,会社に対する株式買取請求が認められるのは,会社が「事業の全部または重要な一部の譲渡」(会社法469条,470条),「全部の株式について,株式譲渡制限を定める定款変更」(会社法116条1項1号),「ある種類の株式について,譲渡制限株式または全部取得条項付種類株式に変更する定款変更」(会社法116条1項2号),「吸収合併,吸収分割又は株式交換等」(会社法785条,786条)等の決議を行った場合の反対株主についてであり,出資金の返還を求めるための株式買取請求は認められていません。

 そのため,株主としては,剰余金配当請求によって配当を求めることが考えられますが,本件においては,利益配当もなされていないとのことですので,利益配当がなされていないことが適切か否かを確認する必要があります。

 そこで,総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主または発行済株式の100分の3以上の数の株式を有する株主には,会社の会計帳簿の閲覧・謄写請求をすることができるところ(会社法433条1項),相談者さんは,3000万円の資本金中,900万円を出資されたとのことですので,会計帳簿の閲覧・謄写請求をすることのできる株主に当たると思われます。まずは,会計帳簿の閲覧・謄写請求を行い,会社が利益配当を行わないことが適切か否かを確認すべきでしょう。

 なお,上記の手続のほか,株式の譲受人がいれば,株式を譲渡することで出資金相当額の回収を図ることは可能となります。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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