競業禁止規定の有効性


Q. 競業禁止規定を設けるには,どのようにすれば良いか?

創業50年を迎える私の会社は,衣料品の製造販売業を営んでいます。ところが,弊社には退職後の競業禁止規定が設けられていません。過去には従業員がライバル会社に転職し,弊社の顧客情報やノウハウが流出してしまったこともあるようです。そこで,退職後に有効となる競業禁止規定を設けたいのですが,どのような点に注意すべきでしょうか。

A. 競業禁止とする職種・地域・期間や代償措置などを検討すべきである。

 退職後の競業禁止を定めた就業規則や個別合意が有効であるか否かは,①守るべき企業の利益があるか,②従業員の地位や職務内容はどのようなものか,③競業禁止とする職種や地域に限定はあるか,④競業禁止の存続期間はどれくらいか,⑤代償措置が講じられているか等が総合考慮されることになります。以下,それぞれコメントします。

 まず,①守るべき企業の利益が存在する必要があります。具体的には,当該情報の秘密管理性や有用性,非公知性などから,法的保護に値する利益が会社に存在するか判断されるため,会社として顧客情報やノウハウを厳格に管理しておくことが必要となります。

 次に,②従業員の地位や職務内容についてですが,退職後に競業を禁止される従業員は,機密性の高い情報に接する従業員に限定されるべきと考えられています(大阪高判平成18年10月5日等)。全従業員を対象とする規定は無効と評価される可能性がありますので,ご注意いただきたいと思います。

 ③競業禁止とする職種や地域については,禁止する範囲を限定すればしただけ有効とされる可能性が高くなります。そこで,競業禁止規定においては,「在職中に知り得た顧客との取引を禁ずる」など,具体的に定めておくことが重要です。

 ④競業禁止の存続期間については,短いほど有効となる可能性が高くなります。例えば,6か月など1年以内の期間が設定されている場合は,他の事情にかかわらず有効と判断されることが多いのに対し,5年以上の期間が設定された場合,有効とされた事例は多くありません。一般的には1年ないし2年程度の期間とすることが多いですが,短い期間で目的を達成できるのであれば短くすべきでしょう。

 最後に,⑤代償措置についてですが,賃金や賞与,退職金などに競業禁止を課すことの対価が含まれる場合,代償措置が講じられているとして規定が有効となる可能性が高まります。

 競業禁止規定を設ける際には,以上の点に注意していただければと思います。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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