社内不倫と懲戒処分


Q. 従業員が社内不倫している場合に懲戒解雇できるか?

私は,従業員20名の会社で社長を務めています。昨年,経理事務担当者として女性社員を1名採用したのですが,この社員が妻子ある同僚男性と社内不倫するようになりました。両者の関係は,社員はもちろん,取引関係者にまで知れ渡っています。私は二人に不倫をやめるよう強く忠告したのですが,依然として関係は続いているようです。職場の風紀を乱した二人を懲戒解雇しようと思いますが,問題があるでしょうか?

A. 企業運営に具体的な影響を与えた場合でないかぎり,懲戒解雇はできない。

懲戒処分に関しては,労働契約法15条が「使用者が労働者を懲戒することができる場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,当該懲戒は,無効とする」と規定しています。具体的には,懲戒処分は,①就業規則上,懲戒の理由となる事由とこれに対する懲戒の種類,程度が明記されていること,②懲戒処分事由に該当すること(客観的に合理的な理由があることを含む),③処分が相当なものであること,④弁明の機会を与えるなど手続が適正であることの要件を満たしてはじめて適法になります。  そこで,本件では,就業規則上,職場の風紀を乱した場合に懲戒できることとそれに対し懲戒解雇できることが明記されているか確認する必要があります。定めがない場合,そもそも懲戒解雇はできません。定めが存在する場合,②~④を検討することになります。この点,裁判例(旭川地判平成元.12.27)は,本件類似の事例について,「職場の風紀・秩序を乱した」とは,企業運営に具体的な影響をあたえるものに限るとしたうえで,社内不倫に事実だけでは②ないし③の要件を満たさないと判断しました。  このように社内不倫の事実だけを根拠に懲戒解雇を行うことにはリスクがあります。そこで,懲戒解雇を検討されるのであれば,社内不倫が他の従業員の業務や取引に大きな悪影響を与えているという客観的な資料を用意する必要があるでしょう。なお,懲戒解雇は最も重い懲戒処分であるため特に慎重な判断が必要になりますが,より軽微な懲戒処分(戒告や減給,出勤停止など)であれば適法とされる余地があります。

※記事の内容は、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。

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