著作権について

1. 著作権法の仕組み

 
千瑞穂法律事務所へのアクセスマップ

 著作権法は、①著作物を定義づけ(著作権法10条から13条まで)、②著作者を定義づけたうえで(著作権法14条から16条まで)、③著作者が一般的に有する権利の内容を規定しています(著作権法17条から29条まで)。その後、④著作者の権利が制限される例外事由を定めています(著作権法30条から50条まで)。

 ここでは、これに沿って説明します。

 

2. 著作物

 著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいます(著作権法2条1項1号)。

この著作物の定義について、重要なのは以下のポイントです。


「思想又は感情」

 例えば「東京タワーの高さは333mです」といった文は、単なる事実ないしデータであって、思想でも感情でもありません。よって、著作物ではありません。著作物といえるためには、創作者の思想や感情を伴っていることが必要です。

 

「創作的」

 他のものを模倣したような、創作が加わっていないものは除外されます。また、誰が表現しても同じものになるような、ありふれたものも除外されます。独創性や新規性、芸術性がある必要はなく、表現者の個性が現れていればOKです。もちろん、うまい・ヘタは関係ありません。

 

「表現したもの」

 表現する必要がありますので、頭のなかにあるだけのアイデアなどは除外されます。また、例えば「秘伝のレシピ」のようなものもアイデアですので、そのレシピは著作物にはならず、そのレシピで料理を作っても著作権侵害にはなりません。ただ、アイデアは著作物ではありませんが、そのアイデアを文章としてまとめたものは著作物となります。先述の秘伝のレシピも、書籍などで表現していたら、それは著作物となります。
 

 なお、アイデア自体は、特許法や不正競争防止法で保護されます。

「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する」
 この条件により、工業製品などが除外されます。芸術的なものに限定されるようにも思えますが、実際には、誰かに宛てたような、ごく普通の手紙なども該当します。

 

 プロが作成したものが著作物、ということではなく、保育園児でも近所の主婦でも、誰が作ったものでも著作物の定義に該当すれば著作物になり、著作権法で保護されます。
 

 他方、アーティストや作家などのプロが創作したものでも著作物の定義に該当しなければ著作物ではないので、著作権法では保護されません。

 

著作物の例(著作権法10条)
 著作物とは、具体的には次のようなものです。

 

 ・音楽の著作物(曲、歌詞など)

 ・舞踊又は無言劇の著作物(バレエやダンスなど。実際の演技は実演に該当し、著作物と

  してはダンスなどの振り付けを差す)

 ・美術の著作物(絵画、彫刻、マンガなど)

 ・建築の著作物(寺院、橋、庭園など)

 ・地図又は図形の著作物(地図、図表など)

 ・映画の著作物(映画、CM、ドラマ、ホームビデオの映像、テレビゲームなど)

 ・写真の著作物(写真、グラビアなど)

 ・プログラムの著作物(プログラムなど)

 

3. 著作者

 著作者とは「著作物を創作する者」と定義されています(著作権法第2条第1項第2号)。
 

注意1. 発注者は当然には著作者にはあたらない

 ここで注意しなければならないのは、「発注者は著作者ではない!」という点です。

 例えば、イラストや音楽、ホームページに掲載する文章などを他人に依頼して作成した
場合でも、著作者は依頼者(発注者)ではなく、実際に著作物を作った人(受注者)にな
ります。お金を払ったのが誰なのかも関係ありません。これは要注意です。

 

 発注者と受注者との間の契約で特段の定めを設けていない場合、依頼者は著作者では無
いと同時に、著作権者でもないことになります。なぜなら、著作権は当然には依頼者(発
注者)側に移転しないからです。通常は、受注者が著作権を依頼者(発注者)側に譲渡し
たり、依頼者(発注者)側が著作物を利用するための契約を交わすことになります。

 

注意2. 著作者と著作権者が違う場合もある

 このページで紹介しているのは「著作者」ですが、似たような言葉で「著作権者」とい
うものもあり、紛らわしいと感じるかもしれません。

著作者とは先述の通り著作権法で「著作物を創作する者」と定義されていますが、それと
区別して、著作物を創ったかどうかは関係なく、とにかく著作権を持っている人を著作権
者と呼ぶ場合があります。

 

 通常、著作物が創作された時点では著作者と著作権者は同じ人を指しますが、その後の
​著作権譲渡などの契約などにより、両者は違う人を指すようになる場合があります。

 

4. 著作者が有する権利の内容

 著作者の権利は、人格的な利益を保護する「著作者人格権」と、財産的な利益を保護する「著作権(財産権)」の二つに分かれます。

 

 著作者人格権は、著作者だけが持っている権利で、著作者が精神的に傷つけられないようにするための権利であり、創作者としての感情を守るためのものです。したがって、譲渡したり、相続したりすることはできません(一身専属権)。この権利は著作者の死亡によって消滅しますが、著作者の死後も一定の範囲で守られることになっています。

 

 一方、財産的利益を守るための「著作権 (財産権)」は、土地の所有権などと同様に、その一部又は全部を譲渡したり相続したりすることができます。ですから、そうした場合の権利者(著作権者)は著作者ではなく、著作権を譲り受けたり、相続したりした人ということになります

 

 「著作権(財産権)」が譲渡されても、「著作者人格権」は引き続き「著作者」に残っていますので、「著作権(財産権)を持っている人」と契約する場合には、その人は「著作者」なのか、又は「著作権(財産権)を譲り受けた人」なのかを、よく確認することが必要です。それによって、著作者人格権を持つ人の了解を得なければならない利用について、「誰の了解を得るか」が違ってくるからです。

 

5. 著作者の権利行使の制限事由

 著作権は著作権者が著作物を排他的に利用することができる権利ですが、社会的・公共的な利益との調和をはかるために以下の場合には著作権が制限され、著作権者の許諾なく著作物を使えます。


 ただし、著作者人格権は制限されません。

 ①私的使用のための複製

  著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用するこ
 とを目的とする場合には、その使用する人が複製することができます。

 ただし、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(専ら文書、
 図画に用いられる文献複写機は除外されています)を用いて複製する場合を除きます。

 

  なお、会社の内部使用のための複製は、私的使用のための複製には該当しません。


 ②図書館等における複製


 ③引用

  公表された著作物は、公正な慣行に合致し、報道、批評、研究 その他引用の目的上正当
 な範囲内であれば、引用して利用できます。


 ④教科用図書等への掲載


 ⑤学校教育番組の放送等


 ⑥学校その他の教育機関における複製

  ただし、当該著作物の種類、用途、その複製の部数、態様に照らし、著作権者の利益を
​ 不当に害することとなる場合を除きます。


 ⑦試験問題としての複製


 ⑧点字による複製等


 ⑨営利を目的としない上演等


 ⑩時事問題に関する論説の転載等


 ⑪政治上の演説等の利用


 ⑫時事の事件の報道のための利用


 ⑬裁判手続き等における複製


 ⑭放送事業者等による一時的固定


 ⑮美術の著作物等の原作品の所有者による展示


 ⑯公開の美術の著作物等の利用


 ⑰美術の著作物等の展示に伴う複製


 ⑱プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等

 ※なお、それぞれの場合について条件が附されています。詳しくは著作権法第30~49条を
  ご覧ください。

知的財産について、更に詳しい内容はこちら

> 著作権について

730-0017 広島市中区鉄砲町1-20
第3ウエノヤビル 7階

TEL 082-962-0286 FAX 082-962-0289

Copyright ©  2018    弁護士法人千瑞穂法律事務所   All Rights Reserved

お問合わせ

受付時間

​平日9:00-17:00

​メールでのお問合わせはこちら