能力不足により解雇する場合

千瑞穂法律事務所へのアクセスマップ

「もう会社に来なくていいから!」

「今月いっぱいで解雇します!」

 

 貴社では、そのように唐突に、従業員の解雇を行
っていませんか? ここまで極端ではないにせよ、
従業員に辞めてもらうにあたって、適正な段取りを
踏めていないケースは多く見られます。労働者が「
不当解雇だ!」と主張して争ってきた場合、適正な
段取りを踏んでいないと、会社側にとって極めて不
利な結果になります。

 

 そこで、そもそも労働者から争われないために、
そして、仮に争われた場合でも会社側に不利な判断にならないようにするために、適正な段取りが必要になるのです。

能力不足による解雇を行う場合の段取り

1. 能力不足の客観的証拠を集める

2. 指導・教育の実施

3. 配置転換の実施

4. 退職勧奨の実施

5. 解雇の通知

 
 
 
 
 

  企業側が「従業員に能力がない」と評価している場合、経営者はつい「解雇して当然」と思ってしまいがちです。しかし、現在の日本の労働法制では、従業員を有効に解雇することは大変困難です。従業員との話し合いを通じて、従業員の納得の上で合意退職してもらうのが最も賢明なやり方でしょう。
 

 もっとも、合意退職が難しい場合、やむを得ず解雇という手段を採る必要がありますが、その場合も、将来、裁判になる可能性も考慮した上で、手順を踏むことが必要です。

以下、代表的な手順をご説明します。

 

 1. 能力不足の客観的証拠を集める

 2. 指導・教育の実施

 3. 配置転換の実施

 4. 退職勧奨の実施

 5. 解雇の通知

 

 

 能力不足だという評価は、経営者の主観的なものである場合が多くあります。もちろん、主観的な判断だから間違っているという事ではありません。ただ、将来、裁判で争われる可能性も考慮すれば、能力不足だという評価を支える客観的な証拠を集めておくことが必要です。
 

 能力不足の客観的証拠となりうるものは、営業成績の資料(売上や利益額、獲得件数)、担当業務の処理状況(質の良し悪し、処理量の大小など)、顧客および上司、同僚からのクレーム、会社や顧客に損害を及ぼす具体的危険性があることを示す資料などです。できるだけ数値化されたもの、書面化されたものであった方が、裁判資料として有用といえます。
 

 

 従業員の能力不足である場合でも、企業としてはまず、その能力不足の状況を解消するための努力をすることが求められます。

能力不足を解消するために企業側に求められる努力の1つ目として、従業員に対する指導・教育の実施があります。


 どのような内容・程度の指導・教育が必要かは、対象となる従業員の労働契約上の地位や責任、職種などによって異なってきます。一般的には、専門知識や技能を有することを前提に雇用されている専門職や幹部の従業員の場合、企業側に求められる指導・教育の内容・程度は低く、逆に専門知識や技能を有することを前提とせずに雇用されている一般の従業員の場合、企業側に求められる指導・教育の内容・程度は高くなると言えます。


 企業としては、この指導・教育によって能力不足が実際に解消されれば、もちろん良いのですが、仮に指導・教育によっても能力不足が解消されなかった場合、その従業員を解雇することになっても、企業側としてできる努力はしたのだと主張する根拠になります。


 指導・教育をしたこと、どのような内容・程度の指導・教育をしたのか、その指導・教育による従業員の変化の有無など、これらもできる限り書面として記録を残しておく必要があります。
 

 

 能力不足を解消するために企業側に求められる努力の2つ目として、従業員に対する配置転換を試みるということがあります。
 

 従業員の能力不足は、もしかすると現在担当している業務との関係であって、別の職場、別の職種であれば、必要とされる能力を満たしているかもしれません。ですから、企業としては、解雇という手段を採る前に、配置転換によって能力不足の問題を解消できないかを試みることが求められるのです。
 

 もっとも、企業規模が小さい場合、適切な配置転換先がない場合も多いでしょう。このような場合には、配置転換を試みることは必須の条件とはされません。裁判で争われた場合に裁判所が考慮するのは、解雇に至るまでに企業側が可能な限りの手段を全てとったのかを重視するからです。

 
 


 指導・教育をしても、また配置転換を試みても、能力不足の問題が解消しなかった場合、企業はその従業員を解雇することができます。ですが、裁判のリスクを回避する意味で、できるだけ解雇ではなく、退職勧奨をすることをお勧めします。

 

 裁判のリスクとは何でしょうか。解雇された従業員が納得していない場合には、その従業員から「不当解雇だ」と裁判等で争われる可能性があります。この場合、能力不足であることの客観的資料が揃っており、かつ、指導・教育や配置転換の試みをしても能力不足が解消されなかったことの資料が揃っていれば、たとえ訴えられたとしても、企業側も十分に戦うことができます。しかし、十分な準備をしていたとしても、裁判に確実に勝てるとは言えません。なぜなら、日本の労働法制はそもそも「労働者を保護する」という目的が強く設計されていますし、裁判所も、その労働法制を適用することで、どちらかというと労働者を保護する方向で判断を下す傾向があります。これが裁判のリスクです。


 ですから、裁判のリスクを回避する意味で、できるだけ解雇ではなく、退職勧奨をすることをお勧めするのです。

 

 退職勧奨をする場合、退職勧奨に応じるのであれば退職金を上積みすると提案することで、従業員が退職勧奨に応じやすくすることも有効な手段です。たとえば、「退職金を加算して支給するから退職届を提出して欲しい」と持ち掛けるのです。加算する退職金の額は、予測される失業期間や問題行動の程度を勘案して、試用期間中であれば給与の1~2ヶ月程度、試用期間以降なら2~6ヶ月程度が妥当と思われます。

 

 従業員が退職勧奨に応じた場合、合意書を作成する必要があります。この合意書の内容に不備があれば、後でトラブルが再燃する可能性もありますので、合意書の作成については、ぜひ、専門家である弁護士にご相談下さい。

 


 従業員が退職勧奨に応じない場合には、解雇をせざるを得ないでしょう。解雇(普通解雇)をする場合、解雇日の30日前に解雇予告をする必要があります。また、解雇予告をすることなく解雇する場合には、平均給与の30日分を支払う必要があります。
 

 上述のような適切な段取りを踏んだ上で、やむを得ず解雇にまで至ったとしても、従業員が解雇に納得していない場合、従業員から「不当解雇だ」と訴えられる可能性があります。その際は、企業としては粛々と受けて立つしかありません。

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