従業者発明に関する権利関係

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     従業者発明に関し,会社が権利を確保するために何をしておくべきか?

Q.

知的財産権

2017.02 弁護士 加藤健一郎

 当社では日々新たな商品を開発し,その
商品を販売しています。ところが,ある商
品の開発担当であった社員が,その商品の
特許を取得したうえ,ライバル会社に譲渡
してしまいました。従業者発明について,
会社が権利を確保するためには何をしてお
くべきなのでしょうか。

職務発明規程を整備しておくべきです。

A.

 はじめに,従業者発明は,職務発明(特許法35条1項)とそれ以外の発明に分けることができます。そして,職務発明とは,簡単にいえば,①従業者の,②使用者(会社)の業務の範囲に属する発明で,かつ③従業者の現在または過去の職務に属する発明のことをいいます。こうした職務発明につき,会社は,無償かつ実施権の範囲に限定のない通常実施権を取得するため(特許法35条1項),従業者が職務発明をライバル会社に譲渡した場合でも,実施を続けることはできます。しかし,何ら対策を講じなかった場合に,会社が特許発明の実施を独占できるわけではありませんし,従業者がライバル会社に権利を譲渡することを防止することもできません。
 

 このように会社が従業者に職務として発明させていた場合であっても,会社が従業者から特許を受ける権利を当然に承継できるわけではありません。そこで,会社としては,発明の前後に,従業者からの承継に関する取決めを行っておく必要があります。もっとも,発明完成後に従業者と取決めを行うことは困難な場合が少なくないため,多くの企業では,事前の取決めとして職務発明規程が設けられています。なお,職務発明規程の定め方としては,発明完成と同時に権利が会社に移転する「停止条件付移転」と会社が承継する旨の意思表示をした場合に移転する「一方の予約」がありますが,「一方の予約」形式の方が好ましいとされています(高林龍 「標準 特許法[第5版]」84頁(2014年有斐閣)。
 

 本件においても,職務発明規程を整備しておくことが重要となります。

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